第20話 奉仕力ビーム破れたり!


千歳たちは、セラヴィー博士の屋敷を訪れていた。




屋敷・・・いや、屋敷だったものを見つめて絶句する千歳たち。

それは無残に破壊されつくし、かろうじて建物の形を保っている廃墟だった。

ところどころに血の跡が見える。

間違いなく、ビザールの仕業だ。




「ひどい」

廃墟へ脚を進めながら千歳がつぶやく。

「ほんま、容赦ないなぁ、えげつな」

「ふに…」

「立ち尽くしていても仕方がないわ…何か手がかりはないか調査してみましょう」

「そうですわね」

涼子の提案に萌枝が同意し、5人は廃墟の中を歩き始めた。

広い屋敷の中を照らす明かりは無く、不気味に薄暗い。

「なんか出そうやなぁ・・・」

「やめてよ」


かなりの時間をかけて探索するが、手がかりは何も無い。


「ここが最後の部屋だね」

千歳が開けたドアを覗き込む。

「・・・なんか、書斎みたいな感じ」

そっと部屋に入る5人。

絨毯の上には本棚が倒され、あちこちに大事そうな本が散乱している。

割れた電球、破壊されたサイドテーブル。


ボロボロに荒らされた部屋のなかで、ただ1つ形を留めている机があった。

「この机、頑丈だねー。これだけ壊されてないよ?」

愛が感心したように口を開く。

「…壊されてないんじゃなくて、壊せなかったのよ」

「つまり、この中には何かがあるわけですわね」

涼子と萌枝がうなずきあった。

引き出しを開けようと手を伸ばすが、ガチガチとなにかにつっかえたように開かない。

「うちの出番やな」

イエローがちからこぶを作って引き出しを引き絞る。しかし、びくともしない。

「…きっついわ…なんやねん、これ…」

「イエローでも開かないなんて相当だね」

千歳もムキになって引き出しをガタガタとやるが、開く様子はない。

「そやけど、なんかこの引き出し触ったとき、『ほわ』ってしたけどなぁ」

「『ほわ』?」

「せや。なんかどっかで…そうやなぁ、変身するときにメイドギアから感じるあの感じやで」

「!」

「そういえば…」

「奉仕力で封印されてるんだ」

5人は静かに手のひらを机の上に重ね、精神を集中させる。

潜在しているはずの力を手の平に集めるイメージで、送り込む。

パチン、と音がして引き出しがひとりでに開いた。そこには1つの装置が入っている。










「これは…レーダーね」

屋敷に持ち帰った装置を、さやかが調べた結論。


「奉仕力レーダー…ここがスイッチで、押すと画面が出てきて…奉仕力がある点が光るわけね」

「ようできとんなぁー」

「いま、ここに大きな6つの反応があるわ。もちろん、これはわたしたちね」

「ふんふん」

相槌を打ちながら聞いている5人。

「で、画面の倍率を上げていくと…」

「にゅ?なんかはじっこで点いたり消えたりしてる点があるよ?」

「そう、ポイント504。ここで奉仕力が極度に増減を繰り返してるわ。…おそらく…。」

「…奉仕力の出力実験ですわね」

「じゃあ、ここに博士が!!」

「そういうことね」

千歳の叫びに涼子が応じる。

いっせいに主人の有栖川に視線を送るメイドたち。それをうけて、有栖川は力強く頷いた。

「ご奉仕戦隊、出動!!」








「や、やめるのじゃっ…うああああっ」

洞窟の暗闇のなかで、セラヴィー博士の苦悶の声が響く。

彼女は拘束され、地面に転がされている。頭に電極のような怪しげな金属が取り付けられ、それは怪しげな装置につながっていた。

それを満足げにみやるビザールカメレオン。

「ふふふ、いい感じだ。この人工知能に、お前の持つすべての奉仕力の知識を吸収してやるぞ」

「な、なんじゃと…」

「全ての知識がコピーし終わったらお前はもう用済みだ…だから安心して転がっていな!ほら、吸収スピードを上げていくぞ…くくっ」

「くあああああっ」

セラヴィー博士の絶叫が響いたその時。



「そこまでよ!!」

洞窟の入り口に輝く5つの光。

「ビザール!!セラヴィー博士は返してもらうわ!!」

メイドレッドが叫ぶ。

「ぐうっ、メイドファイブだと!?どうしてここがっ!!」

慌てるビザールカメレオン。

「メ、メイドファイブ…来てくれたのか…っぐあああああ」

「フン、どのみち人工知能はもうすぐ完成だ!!もっとスピードを早めてやれば!!」

「うわああああああ」

人工知能の完成を急ぎ、カメレオンが装置のパワーを極限まで高めた。それに耐え切れず、セラヴィー博士は絶叫する。




「させないわ!!!いくよみんな!!!」

「ええ!!」

メイドレッドの叫びに応じ、ご奉仕戦隊は駆け出した。

「コマンダー!!」

カメレオンの支持で戦闘員ビザールコマンダーがわらわらと現れ、行く手をさえぎった。

「イエローさん!!」

「はいなぁ!!」

グリーンの支持でイエローが仲間たちの前に立ち、突っ込んでいく。その後に4人が続く。

少しでも時間を短縮するための一点突破。

戦闘員たちをなぎ倒し、メイドファイブは突き進む。

「抜けたでぇ!!」


戦闘員の壁を抜けると、目の前にカメレオンが不敵に笑っていた。

「くく。少し。ほんの少ーし。遅かった。セラヴィー博士の知識は全ていただいたぞ!!!」

「なんですって!!」

博士は地面で力なくうなだれている。

「博士!!」

グリーンとピンクが駆け寄り抱き起こす。そして、レッドたちに「大丈夫」と告げた。


「さぁ、おしおきタイムやで!!」

イエローがたまった鬱憤を晴らすかのように吼える。

そしてカメレオンに向かって突き進むと、鋭くパンチを繰り出した。

カメレオンは体をくねらせてそれをかわす。

「甘い!」

そして、尻尾でイエローの脚を払った。バランスを崩したイエローが、次の波状攻撃のため後ろに控えていたピンクの上に落ちる。

「ムギュ」

つぶれるピンク。


「ならば!!」

ブルーがトレイをかざして走る。その後ろにグリーンが続く。

「奉仕力カッターっ!!」

カメレオンを寸分違わず狙ったカッター。しかし、それはカメレオンに届くことなくカランと地面に落ちた。

「グリーン・サンダーっ!!」

グリーンの攻撃。しかし、ブルーの援護が無くやすやすと受け止められる。

「弱い。弱い。」

カメレオンが口を開け、舌を伸ばした。

「くっ!?」

舌はムチのようにしなり、グリーンを打ち据える。

「この!!」

モップを構えてグリーンの助けに入るレッド。

「奉仕力ファイヤー!!」

レッドが繰り出す炎攻撃。確かにカメレオンを捕らえた。しかし、カメレオンはびくともしない。

「おかしい…わたしたちの武器が通用しないっ…!?」

「…まさか!?」

グリーンが青ざめる。

「くく。少し。ほんの少ーし奉仕力をコントロールしてやっただだぞ?メイドファイブも大したことないねぇ」

「…コントロール!?」

「そう。セラヴィーの知識とビザールの技術が生んだ究極の『奉仕力制御機』!!これがあればお前たちは無力だ!!」



「ど、どないしたらええねん!?」

「カンタンなこと!制御できないくらいのエネルギーをぶつけてやればいいだけよ!!」

イエローの問に力強くブルーが答えた。

「わたしたちの最大のエネルギー…奉仕力ビーム!勝負ですわ!!」

「んにゅ!!!」



「いくよ!!」

レッドが叫んだ瞬間、5人はそれぞれの武器を天高く投げ上げた。

それは、空中で融合し、変形し・・・

やがて、巨大な砲身となって地上に降りてきた。

5人はそれぞれその砲身の配置につく。

グリーンとピンクが発射口の横に、イエローとブルーが砲身の横に、レッドが引き金を引く位置に。

「奉仕力ビィィィィィィム!!」

五人の奉仕力がひとつにまとまり、砲身から5色のきらびやかな光線が発射された。




…しかし、その光線はカメレオンに届く前に…霧散した。

「ああっ!!」

愕然とするレッド。

「くく…くくくく…くわーっはははははは!!!」

ビザールカメレオンの笑いが響き渡る。

「奉仕力ビームまでもが…効かないなんて!!」



奉仕力が完全にビザールの手に落ちた!!

必殺技、奉仕力ビームまでもが無力!!はたして、メイドファイブはビザールカメレオンを倒すことができるのか!!?

次回!「断ち切れ!必殺メイドブレード!!」にメイドチェーンジ!