第14話 復活のクイーン

「ウルフ様!」

「くどい。お前たちには愛想が尽きた。あれだけ優勢でありながら、1人殺っただけとはな」

「奴らの妙な新兵器さえなければ!」

「うるさい!この役立たずめ!」

「しかし…!」

「お前たちはもう使わない。お前らではヤツらに勝てない」

「…!!」

「失せろ」



しばらくの口論のあと、シャドウは半泣きになりながら静かに去っていく。

ウルフはいまいましそうにペッと唾を吐いた。



「ちょ、ちょっと待つアルよ〜」

チャイナはあわててシャドゥの後を追う。



「エスパー、くのいち。お前らも用済みだ」



名指しされた2人は、ウルフに背中を向けて歩き出した。

「…いいのかな〜、そんなこと言って」

「シャドゥ殿…おそらく1人ででも戦いにいくでござろうな」

「ま、しょーがないよ。メイドがクビになった、それだけ」

「さよう」

エスパーとくのいちは、冷静に去っていった。







「さて…俺にはまだ切り札がある」



ウルフは、パチンと指を鳴らした。

ほどなく、戦闘員が台車を押してやってくる。その台車にはグリーンの身体があった。



「どうするおつもりで?」

横に控えていたドクターVがニヤリと笑う。



「決まっている…こいつをご奉仕戦隊にけしかけるのさ」

「しかし、きゃつめら油断なりませぬ。わたしの完璧な洗脳も破られてしまったのですぞ」

「俺がこいつになればいいのさ」



「…くくっ、なるほど」

醜いドクターVの面相が邪悪に歪む。彼は至福を感じているようだ。



「ドクターV、俺の意識をメイドグリーンへ移せ。俺の残った体はビザール帝王様へ捧げるのだ」

「了解ですじゃ、ひぇっひぇっ。ただ、1つだけお願いが…」

「言ってみろ」

「この身体、複製を作らせてほしいですじゃ」

「何だと?」

「…ひぇっひぇっ、このようなそそられるオナゴはオモチャとして常に側に置いておきたいものなのですじゃ…」

「フン、好きにしろ。その年で恥ずかしくないのか」



ビザール帝国は、ビザール帝王を復活させ、その力で世界を暗黒に染めようとたくらんでいる。

ビザール帝王はいまは深い眠りについているが、肉体を捧げることにより、

その力を徐々に蘇らせる。帝王の復活が帝国の目標なのだ。

捧げる肉体は強ければ強いほどいい。

その肉体の調達に手間取っている。

それも、あのご奉仕戦隊どものせいだ。



俺の肉体を捧げ、帝王の復活を早める。

自らはメイドグリーンとなり、ご奉仕戦隊を内部から破壊する。

俺の作戦は完璧だ!



ウルフは1人満足げにうなずいた。



「それで…クイーンはどうなっているんだ?」

もう1つの切り札、クイーン。こいつが俺の意のままになれば、俺はビザールの英雄になれる…!



「仕上がっておりますよ…以前のクイーン様とは比べるべくもなく力強くなっております」

「使えそうなのか」

「もちろん、ウルフ様には絶対服従ですが…ひょっとしたらウルフ様よりお強いかも」

「面白い事を言う…気に入った」

「今は、地下牢で目覚めの時を待っております」

「そうか」

「では、まずグリーンの肉体を蘇生させますぞ…。そののち、ウルフさまの意識を移植いたします」

「まかせる…くく、楽しみなことだな…うはははは…」







「聞いたでござる」

「聞いたね」

聞き耳を立てるエスパーとくのいち。

「クイーン様は生きておられる…ウルフなどという我々を信用できぬ奴よりも、よほど…」

「とにかく、様子を見にいこう。地下牢に」





2人は帝国の地下牢に忍び込む。

「クイーン様…クイーン様?」

かつて、ビザールクイーンだった女が地下牢に繋がれて眠っている。

くのいちの呼びかけに静かに開く眼。



「お…前…らは…」

「裏メイド戦隊、メイドエスパーです」

「おなじく、メイドくのいちでござる」

とりあえず会話ができるようだ。

「何の…用だ…」

「クイーンさんは、メイドファイブに復讐したくない?」

エスパーは能天気に問い掛ける。

突然、クイーンの顔色が変わる。



「今、帝国はウルフが指揮をとっています…クイーン様としては、それも面白くないはず」

「…だめだ…ウルフを出し抜き、メイドファイブたちに復讐したいのはやまやまだが…」

くのいちのセリフに反応するクイーン。

「どうしたの?問題でも?」

エスパーが口を開く。

「わたしは…もはや奴らのあやつり人形にすぎない…ウルフの命令はわたしの神経に直接響くのだ」

「なんと…」

「なーんだ、そんなこと。」

息を呑むくのいちを尻目に、エスパーが拍子抜けした顔で笑う。

「それなら、ちょっと反乱しちゃおっか?」









「ドクター、どうだ」

ウルフがドクターVに話し掛ける。

「蘇生は完了しましたじゃ。あとは、ウルフ様の意識を移すだけ…ぬぅっ!?」



ドクターVの処置室に、メイドエスパーが現われた。

「貴様!?いまさらお前に用はないぞ」

「ウルフさん〜、悪いけど、あんたの下、居心地悪いんで…消えて♪」

エスパーがいたずらっぽく笑いながら前にでる。

そのとき、エスパーの影が揺らぎ、そこからくのいちが飛び出した。

「ビザールウルフ!ビザール帝国のため、お命頂戴!」

「…身のほど知らずめ!!貴様ごときが俺に勝てるつもりか!?」



「確かに、わたしたちじゃ勝てないかもね〜。でも、この人ならどう!?」

余裕のエスパーの後ろから、ビザールクイーンが現われた。

「ウルフ…あの屈辱、いまこそ返す!!」



ウルフが笑う。

「残念だな!悪いがクイーンの意識は俺が完全に支配している!!!クイーン!今すぐそいつらを殺せ!」

が、クイーンはぴくりともしない。

「ま、まさかっ!?」

ドクターVの顔色が変わる。



「そーゆーこと〜。わたしの超能力でちょっと声をジャミングしたんだよ〜。」

「クイーン様の耳に届く時、貴様の声はすでに貴様の声にあらず…すなわち、無効!!」



「な、なんだとっ!!!」

たじろぐウルフ。



「われらのリーダー、シャドゥ殿をコケにした…許せぬ!!」

「あんたの下、面白くないんだ〜、ちゅうことで。」

構える2人。が、それをさえぎり、クイーンが前に立った。

「ドクターV…今ほどお前に感謝したことはない…」

「ひ、ひいっ」

「この極限まで改造された体…いまこそ我が屈辱晴らす時!!!」



「なめるな!どれほどのものか知らんが、この場で殺せば同じこと!!」

「思い上がるなーっ!!」



クイーンとウルフが一瞬交錯。

ウルフがもんどりうって倒れた。

「な、なんだ、こいつの強さは…ッ!!」

「死んで後悔するのだな!!!」



そのまま、ウルフは殴られ続けた。

すでに意識はない。白目をむき、よだれを垂れ流す。

かつてのウルフの姿はそこにはなかった。



「くく…他愛ない」

クイーンはウルフの身体を踏みつけ、高らかに宣言した。

「これより、ビザール帝国はこのビザールクイーンが指揮するッ!!!」



ドクターVは、いつのまにか消えていた。グリーンの肉体とともに。

「メイドグリーンの身体が…ドクターめ、持ち去ったでござるか」

「まあいいじゃん。いまは、先にやることがあるよ〜。」





地下深く。

帝王の眠る地。

鍾乳洞のようになっているそこには、大きな血の色の池がある。

帝王に捧げられる肉体は、その池に投げ込まれ、帝王に吸収される。



そして今、ウルフの肉体がその池に投げ込まれた。

音をたてて干からびていくウルフの身体。

「まあ、最後にこうして帝王様の血となり肉となれるのだ…よろこべウルフ…ふははは」

クイーンの勝利の笑い。

そのとき、後ろに控えていたエスパーとくのいちに変化が現われた。

「うおおお!!身体が熱いでござるッ!!」

「力が…力がみなぎってくるよ〜っ!!」



「そうだろうな…ウルフの肉体を得て、帝王さまは力を得たのだ…」

「もしかして…」

「そう、帝王さまが力を蓄えていくと、それはそのままお前らの力になるのだ…。」

「すご〜い!!」

「お前らは、今元あった力に加え、さらにウルフの力を得ている…身体も熱くなるだろうな」

「じゃあ、あのグリーンの身体もとっとと放り込んじゃおーよ!!もっともっと強くなるよ!!」

「そうでござるな」

「どうしたの?うかない顔して」

「シャドゥ殿が早まっていなければよいが…」



クイーンが叫ぶ。

「メイドファイブ!!首を洗って待っていろ!!!」





風雲急!!

ビザールクイーンの復活!裏メイド戦隊のパワーアップ!!

そしてシャドゥとチャイナの動向は…?

グリーンの肉体の行方は…?





次回!「戦いの意味」にメイドチェーンジ!!