第6話 癒しのピーチ

 有栖川がテレビを見ている。

テレビにはニュース番組。

最近、日本各地で若い娘が何人も行方不明になっている…

物騒なニュースがトップに報道されている。

「ビザールのやつらの…仕業か」

有栖川ははがゆかった。



ビザールクイーンは世界を征服しようとしている。

そして、そのためにビザール帝王を蘇らせようとしているのだ。

帝王は若い娘の生き血を捧げ続けなければ復活できない。

そのために若い娘をさらい続けているのだ。



ビザール帝王が復活したら、メイドファイブたちでもかなわないだろう。

そうなる前に、ビザール帝国の本拠地を見つけ出し、叩き潰さなければ!!



「御主人さま〜」

気合を入れている有栖川に、のんびりと声をかけたのは、メイドピンク、桃園 愛だった。

「なんだ」

「お買い物行くにゅ。なんか要るものないでにゅ?」

「いや、特に。」

「じゃ、行ってくるにゅ」

「わかってると思うが、一人で行くなよ。レッドかイエローと一緒にいくんだぞ」

「はいにゅ。イエローと行くにゅ」



「しかし、なんやなあ、最近ほんま物騒やなあ」

「ふにゅ。」

イエローとピンクがしゃべりながら歩いている。

「あ!」

「?」

イエローが何かを見つけたようだ。

とっさに身構えるピンク。

「あそこのカレー屋で『カレー10人前食べきったらタダ!!』やて!」

「はあ?」

「なあ、カレー食べたない?」

「今はお仕事中にゅ。ダメにゅ。」

「ちょっとくらいかまへんやろー?最近カレーも食べてへんかったし。」

「ふにゅー…」

「行かへんねやったら、ウチ1人でいくわ。すぐ追いつくから先行っといて!」

走り去っていくイエロー。

「しょうがないにゅ…」

ピンクはため息をつくと、てくてくとショッピング街へ歩いていった。



その頃。

有栖川邸では、激戦が展開されていた。

ピンクとイエローが出て行ったのと入れ違いに、ビザールの刺客、さそりビザールが侵入してきたのだ。



さそりビザールはその名の通り、鋭い針がついた長い尻尾を持っていた。

その尻尾を巧みにあやつり、メイドレッドとメイドブルーを向こうに回してよく戦っている。グリーンは2人の援護に回っている。

が、さすがに場数を踏んできたレッドとブルー。

徐々にさそりビザールを追い詰めていく。

「今回のヤツは大したことないね!!」

レッドがモップを振りかざしながら、余裕をみせる。

「油断しないで!なにがあるかわからないんだから!」

レッドをたしなめるブルー。

実際、2人の攻撃は的確にさそりビザールを捉えていた。



がくり、と膝をつくさそりビザール。

「とどめ!」

レッドが突撃する。

が、その死角からさそりビザールの尻尾がレッドを刺した。

「かかったな」

にやりと笑うさそりビザール。

「うああああああ!!」

激痛にのたうちまわるレッド。

「私の尻尾には猛毒が含まれているのさ。1時間もすればこいつは…死ぬよ。」

「レッド!?大丈夫ですか?」」

レッドをかばうようにグリーンが前に出る。



「たしかに、わたしの戦闘能力はちょっと他の奴らに比べて弱いかもしれない。」

「なに?」

「強くなる必要がないからさ。この1刺しで…相手は確実に死ぬのだから」

「!!きゃあああああ!!」

突然、ブルーが絶叫した。

レッドと同じように地面を転がる。

「何ですの?」

驚くグリーンの目に、地面から伸びているさそりの尻尾が見えた。

「くう、地中から…!?」

「くくっ、2人目…あと3人…」

「ピンク…ピンクがいらっしゃったら…毒なんかすぐに浄化してくれますのに…!!」





ピンクは、買い物をあらかた終えて、帰り道をてくてくと歩いていた。

「結局イエロー、こなかったにゅ!」

ピンクはちょっと怒っている。





イエローはまだカレーを食べていた。

「むむ、こ、こいつは…意外と手ごわい…」



グリーンははたきを構えてさそりビザールと対峙する。

「とにかく、時間をかせがないと…。」

「こっちは1発入れたら勝ちなのさ。お前がどれだけ不利なのか、わかるだろう?」

「わかるわけにはいかないの!!」



防御に徹してピンクたちが帰ってくるのを待つ、グリーンの勝機はそこにしかない。

執拗な攻撃をなんとかかわし続けるグリーン。

今まで前衛はレッド、ブルー、イエローに任せてきたグリーンに、

怪人と1対1で戦うのはさすがにムリがあった。

やがて、息があがってくる。



「くくっ、どうしたどうした!」

さそりビザールの顔に笑みが浮かぶ。

「くう…」

「そろそろとどめね」

さくっ。

鋭利な針がグリーンの胸を突いた。

「ひあああああ!!」

倒れ伏すグリーン。



「とった!!」

高笑いのさそりビザール。

「有栖川!!待ってなさい!すぐに殺しにいってあげるから!!」



ピンクが帰ってきたのは、まさにその瞬間だった。

「にゅ!!レッド!ブルー!グリーン!!」

倒れてのたうちまわっている3人。

「なにがあったにゅ!!」

「わたしに刺されたのさ」

「お前は…」

「ビザール帝国、さそりビザール!!」

「まってて、すぐに治してあげるにゅ!!」

「ばかが。そんな時間をわたしが与えると思っているのか?」

「…」

じりじりとピンクにせまるビザール。



その時!!

空から声が飛んできた!

「お待ちなさい!!」

「!?誰だ?」

「誰にゅ?」

どうやら、声は屋敷の屋根から聞こえるようだ。

さそりビザールが見上げると…

そこには、全身を白く輝かせた、1人のメイド戦士が立っていた。

「メイド・ホワイト見参!!」

メイドホワイトと名乗った白い女性は、たんっと踏み切ると、ピンクとさそりビザールの間にすたっと着地した。

「私が時間を稼ぐ。あなたは早く治療を!」

「…わ、わかったにゅ!」



「メイドホワイト?ふざけるな!!」

さそりビザールは、逆上してホワイトに飛び掛った。

ホワイトは冷静にそれをかわすと、どこからともなく掃除機をとりだすと、それを手に身構えた。

「ホワイト・スイーパー!!」

ぶおーっと大きな音を立てて唸る掃除機。

それを振りかざし、さそりビザールを押さえ込む。



その間に、ピンクは3人を解毒して回った。

血の気を失っていた3人の顔に生気が戻ってくる。

「ピ、ピンク、ありがとう」

「あ、あの白い人は…」

「メイド・ホワイトにゅ!味方にゅ!!」

「メイド…ホワイト?」

「今はそんなことより!!みんなであいつをやっつけるにゅ!」

「そうだね!ホワイトさん!!」

レッドがホワイトに声をかける。

「奉仕力ビーム…撃てる?」

「もちろんよ」

「じゃ、いくよ!!」

レッドが叫んだ瞬間、5人はそれぞれの武器を投げ上げた。

それは、空中で融合し、変形し・・・

やがて、巨大な砲身となって地上に降りてきた。

5人はそれぞれその砲身の配置につく。

グリーンとピンクが発射口の横に、ホワイトとブルーが砲身の横に、レッドが引き金を引く位置に。

「奉仕力ビィィィィィィム!!」



「ぐぎゃあああ…」

断末魔を残して消えていくさそりビザール。



「メイド・ホワイト…」

ブルーがホワイトに話し掛ける。

しかし、ホワイトはそれに答えることなく、飛び上がって屋敷の屋根の上に立った。

「また会いましょう、ご奉仕戦隊…」

そして、去っていった。



「メイドホワイト…何者なの…?」

ブルーがつぶやいた。



ビザール帝国。

ビザールクイーンが叫ぶ。

「なんだ、あの白いやつは!!あいつさえ現れなければ、有栖川の命、奪っていたものを!」

部下たちは、怒りのクイーンを前に、近寄りもできない。

「ウツボカズラ!!ウツボカズラビザール!!」

「は。」

「わたしの部下で最も強いのは誰だ!?」

「わたし、ウツボカズラビザールでございます…」

「行け!メイドファイブを叩きのめせ!!」

「御意に…」













「ごちそうさまでした!!」

イエローがカレー10人前を食べ終わった。

「あ〜…しあわせや〜」











大ピンチを謎の助っ人とピンクのヒーリングパワーで切り抜けたメイドファイブ!!

イエロー、君はそれでいいのか!?

次回、「最強怪人ウツボカズラビザール」に、メイドチェーンジ!